7/25 昼の部 ファウスト 感想

 

ネタバレにご注意。ほろ酔いで書いていることにもご注意。

コンサートや舞台に行くことを「現場」と呼ぶ由来も知らずそのまま使用するが、ついに現場デビューをしてしまった。河合郁人さんと五関晃一さんが出演しているファウストを観てきた。そして河五に落ちた。

どきどきしながら森ピロ(あえて森ティではない)に向かうと、乗り換えたJRが人身事故で運転見合わせというハプニングにも見舞われたけれどフォロワーさんに色々助けてもらい無事開演前ギリギリに着くことができた。本当にありがとうございました。

原作未読、初演未観劇、再演初観劇という割とまっさらな状態で行った。予備知識として持っていたのはお清めとしてラップチューがあること、ふみきゅんが女装すること、カーテンコールがあることぐらい。あとは評価がちょっとアレだということだ。これの影響が結構大きくて、ちょっと偏った見方をしてしまったところはある。

私は過去に3度ほど宝塚歌劇を鑑賞したことがあるため、観劇と言えばあれくらいのものを想像していたのだが、ちょっと求めているものが多すぎたのだなと今日思った。正直、歌劇団が本職である宝塚と比較してしまうと見劣りする点はいくつかあったけれど楽しめるものだった。森ピロにいる人間のどれほどがあの2人を目当てに来ているのか考えたりしていたけれど、まあ実際のところがわかるはずもなくただただ想像していた。結構妙齢の方や男性1人で来ている方、私くらいの年代の女性が1人で来ているのも見た。少なく見積もって、仮にあの半分が2人を目当てに来ているとしても、私が思っていたよりファン層の平均年齢は高い気がした。そんなものなのかな。未だに、「ジャニーズのファンは中高生が多い」という固定観念から抜け出せていない気がする。自分も例外の一人なのに。

いきなりネガティブな話で申し訳ないが、暗転してからパラパラと入ってくる人間の多さに落胆した。もちろん突発的な交通機関の運転見合わせも一因であるとは思うけれど。グッズ販売も直前までせずにキリのいいところで止めりゃいいのに。暗転してからもそもそ動く人間たちの気の散ること散ること。宝塚ではいつも前の方にいたせいもあって余計に目を引いた。開始5分前の鐘が鳴ったくらいを目安に着席しているべきではないのか。それとも私が神経質なのか。まあこれは今後我が身にならないよう気を付けるべきだと感じた。。

あと、悲しかったのは、左右後方4列が黒い布で覆われていたり、中央後方4列くらいがガラガラだったこと。前方は埋まっていたので良かった。座席の埋まり方でやっぱりモチベーションにも影響してくると思うのでできるだけ高いモチベーションで演じられる環境が整っていてほしいと思ってしまう。

 

本編の感想に辿り着くまで時間がかかりすぎた。

・不細工(とされている)囚人が出てくるタイミングの唐突さと顔の綺麗さ

いやもう顔の綺麗さは演じている人間のポテンシャルだから仕方ないとは思うけど、あんなに瞳をきらきらさせた囚人はいない。あと、冒頭だから結構場面説明をしなきゃいけないはずなのに、台詞から場面が理解できる言葉が少なかったような気がするな。私があらすじぐらい読んでおくべきだったのかもしれない。

・オークラン大臣とリリスとの掛け合いが面白い

オークラン大臣が意図的かそうでないのか、ちょっと歯切れの悪いアドリブをしていたけど、それをずっと続ける大臣とリリスの掛け合いすらも面白かった!あと、大臣がリリスを見て「たこやきおばけ!」って言っていたけど、これは大阪ならではのアドリブなのかな?きっとそうだよね?

・新生ファウストを見たアマル「あらイケメン」ファウ「でしょうね」

でしょうねじゃねーよ!イケメンだけど!!でも、自虐している通り、足は短めだなと思ってしまった。それをなかったことにできるくらい綺麗なお顔だったけれど。白いズボンを履いていたから余計にそう見えたのかもしれない。アマルに対して「でしょうね」っていうときは割と柔らかい声色だったのであの時はファウストとしてじゃなく河合郁人として言ってたかもなと思ってた。真相はわからないけどその方が面白いなと思って観てた。アマルは個人的に一番好きな脇役だったのでいろんな人との掛け合いが可愛くて好きだった!

・五関くんの声が低くてセクシーだった

シャワゲみたいな爽やかな曲で聞いた比較的高い声を出す五関くんのイメージが強くて、あの悪魔メイクでどんな声を出すのだろうと思って観ていたけれど低くていい声だった。あと手足が長い。そのおかげで踊る時も歩く時もマントを翻すときも、身長がビハインドにならないくらい舞台映えする。でもほっぺたにお肉がなくてびっくりした。痩せすぎている……

メフィストが元気

これは今回安心した点の1つ!前評判で体力が危ういという話を聞いていたから、大阪初日までに英気を養えてなかったらどうしようという危機感はあったけれど、1回目はまだ全然元気そうだった。このまま行ってほしいね。メフィストの演技が全体のクオリティに大きく影響してくると思うと余計に。演技に関しては、女性はやはり宝塚歌劇団と比較してしまうきらいがあるのでノーコメントで。だけど、初見の感じだと台詞を飛ばしすぎる場面もなかったみたいなのでよかった。

・神様の声が棒読み

これは今回ひどいと思った2つのうち1つ目。いくら姿や表情が見えない役だからと言ってあんなに棒読みの人間を出すことはないだろ。せめてもう少し滑らかに読める人間にすべきだったと思う。

・そもそもマルガレーテに天使が見えて、運命の人がファウストだと教えてもらえるのは何故

心の病にかかっているというほど病んでいる素振りではなかったけれど、「天使と会話している」ということが心の病にかかっていることなのかな。「天使も悪魔も人間の心の中に存在する」って言ってたし。あとマルガレーテはファウスト呼びをやめてずっとハインリヒと呼んでいれば国王たちにバレる心配もなかったのに、ちょっとツメ甘くないですか。

 ・ヴァレンティンがあの場面で、マルガレーテは拾い子であり本当の兄妹でないことを明かす意図は?

たとえ妹を溺愛していてそれが単なる兄妹間の愛情だけじゃなくて男女の愛情だったとしても、ファウストに心焦がれているだけで妹を落胆させるような言葉を放てるヴァレンティンという役柄の神経とこの台詞を書いた脚本家の意図がわからない。もっとそれを言うそれ相応の重い場面を用意した方が良かったのでは。

ファウストヘレネを捕まえられず逃走した場合にマルガレーテの命を奪うと宣言したことと、それをシャーマンがマルガレーテに伝えた意図は?

確かに、処刑されるファウストがその前にマルガレーテとひと時を過ごしたいと言うくらいマルガレーテを愛するファウストにとってマルガレーテの命を奪うという選択は重いものなのかもしれないけれど、交渉材料として明らかに重すぎる気がする。あそこで娘の命を差し出したのは拾い子である子どもへの軽視からなのか。それにしても、その後シャーマンがそれをマルガレーテに伝えてしまったことに対し「空気読めよ」と思わざるを得なかった。心の病持ってるって言ってんだろ、少しは配慮しろよ。

・五関くんのぶるぶる

箇条書きにするとなんだこれ感がすごい。震えるファウストをオフィストが指摘すると「地面についている足がなんちゃら(忘れた)」と言い訳するファウスト。その後震えるふみきゅんが五関くんの腕を持つと話しながら震えだす五関くん。思わずA.B.Sea Market初回限定盤Aのジャケット撮影の際に霧吹きで濡らされた五関くんが震えているところまでフラッシュバックしたよね。可愛い………!本当に三十路ですか。そのあとも何度かふみきゅんが詰め寄るもだるまさんが転んだみたいに振り返られる二人のやり取り!!なんじゃそりゃ!!!かわいすぎかよ!!!!

ヘレネの演出における気合の入れようが最高

そもそもヘレネには圧倒的存在感があったし、声量、声色、歌声まで全てにおいて「妖怪の女王」という雰囲気がひしひしと出ていた。ヘレネというよりは、演じられていた舘形さんの演技力が高かったんだなあ。もちろんヘレネだけじゃなくバックコーラスといいダンサーといい、迫力のある人たちが多かった気がする。人の精気を吸うくらいだから生命力にあふれてないといけなかったのかもしれないけど、今回この舞台を観ていて、一番いい演出だと思っていたのはヘレネの登場シーンだった。

・映像のチープさと音声演出の不自然さに落胆した

これは今回落胆した2つ目。メフィストだったりリリスだったり、誰かが単体で映ることに関してはまあいいとする。それでもかなり譲歩している方だけど。場面転換のために必要だってこともわかったけれど、それでもあのクオリティはもうちょっと上げられなかったのか。ヘレネを捕まえに行くシーンだったりするシーンは本当にチープだった。MADかと思った。同様に音声演出ももうちょっと自然にやってほしかった。効果音はアドリブにもきちんと対応していたりしてよかったけれど、場面転換とかで音を縮小していくのがちょっといまいちで毎回引っかかっていた。

ファウストの耳元でささやくオフィスト

私が今回の観劇で河五に落ちた原因はこれにある。ヘレネを捕えにいく途中に出会った山賊を仲間にするためにオフィストが背後からファウストの耳元に囁くシーンでちょっとどうしようかと思った。心持ち頭を後ろに傾けるふみきゅんとそのすぐ後ろに立って耳元に口を寄せ、ふみきゅんの肘あたりの洋服をつかんで少し背伸びしながら喋る五関くん…!!!なんだこれ!!!!あざといぞ!!!!!そのあとふみきゅんが振り返ったら鼻の先が触れそうなくらい近くに顔があることも、それに対し五関くんが微塵も引かず河合くんが顔を引く構図もなんだかもうすべてがあざとい。河五ワールドすごい。こわい!!!

河合郁人の女装の美しさ

オペラグラスで見ても美しいと思えるほどの綺麗な女装だった。顔格好だけでなく声色と立ち振る舞いまでもきちんと女性のそれになっていたのは、彼の努力の賜物だと思う。男性の時より声量を抑えたりするのは大変じゃないのかな。オフィストとの殺陣を練習するシーンでも、足元の見えない長いドレスなのに動くたびにヒールで地面を踏む音が聞こえて本当に足元まで女性の格好に身を包んでいるんだなと思ったら尊敬すると同時にちょっと興奮した。それにしてもおっぱい詰め過ぎじゃないのか。

・前半閉幕時のメフィストによる「じき朝日が昇る」は何のメタファーなのか

台詞は不鮮明ですすみません。だけど、時間感覚のなかった世界にいきなり朝日の話が出てきて一瞬何のことかと思った。夜明けを表してるのかなあ。

・そもそもテーマはなんなのか

前半で気になったワードは「未来」と「男女の隔たりはない」。もしかしたらもう少しキーワードがあったのかもしれないけれど拾いきれなかった。メインテーマがわからないまま観てしまった。

(7/27追記:二面性というテーマを外部で聞いて納得しました。だから男と女、朝と夜、善と悪という対立の局面があったと今気づきました。)

・噂のラップチュー

後半の冒頭に出てきたからこれか!と思った!これ毎回やってるんだね、リリスすごいな… ふみきゅんの「やりたくないよ~」からの「なんで今日ちょっとあったかいんだよ!!」って言いながら捌けるところに非常に悶えた。そのあとの五関くんがラップチューから逃れようとして台の上?に手をかけようとしているけど届かないもどかしさが可愛かった。165センチの三十路のあざとさ…!逃げられないことを突っ込まれた後に、さっきまでの背筋の良さを崩して、「やりたくなぁ~い」って言うのが最高に五関くんだった。客席に探しに行きましょう、って言った後に「私じゃなければいいのです」っていう五関くんも最高に五関くんだった。初めに目を付けられた男性の方が17歳だったことに二人とも動揺して、五関くんが「17歳はやめときましょう」って言ってた。ファーストキスがリリスだとちょっとその後の人生つらいよね。ファーストかは知らないけど。そのあと目を付けられたおじさまがしこたまラップチューをかまされた後で握手を求められてリリスが「握手を求められたのは初めてだぞ!」って言ってた。大阪の懐の広さすごい。全く抵抗も同様もしないあのおじさまもすごい。

・3つ目の願いで、「国王になりたい!」って言ったはずなのにかなえられたのは「男に戻る」だけなのでは…

男に戻ることが国王になる大前提だとしても、そのあと国王と王子を失脚させたのはファウスト自身の努力だし、あれを願いをかなえた個数としてカウントしていいのか。あと、意図的か偶発的かわからないにしても国王を刺してしまったのに、そのあとヴァレンティンと戦って殺したときに「ついに人を殺めてしまった…」って言ったの、国王はノーカンかよ!って思った。意図的に殺してしまった人は初めて、ってことなのか。

・オークラン大臣の財宝持ち出しはスルーなの

アマルが大臣に対しなべぶたとおたまで戦ってたところがすごい可愛かった。結局あの持ち出しに対してあとでなにか言及あったっけ?覚えていないだけかもしれないのでもしあったらすみません。

・マルガレーテが飛び込んだ先はどこ

アマルが「ファウストが国王になった」って言ったことにマルガレーテは喜んだと思っていたんだけど、むしろ心を病んでしまったんですね。そこらへん心の機微をもう少し知りたかった。ファウストから逃げて飛び込んだ先は普通に屋外だと思っていたんだけれど、照明は赤色だったし、音声はぱちぱちしていたから「炎の中に飛び込んだのかな」と思った。だけどそのあとでファウストが「探したけど見つからなかった」って言ってたのなら本当に外なのかな。ややこしい演出やめてほしい…

・神様と賭けをした割に最後はメフィストの独白

神様出てこないんだ、と思った。ただ独白のシーンは、静寂のなか思いのたけを天に向かって綴るメフィストの切迫した雰囲気と、魂を解放したところでメフィスト自身も安心したような表情と声になるのが良かった。神様出てきてもあれなら逆に興ざめしてしまうかもしれない。

 

正直、オフィストが差し違えたあたりから集中力が切れてきてあまり覚えていない。ただ、「素晴らしい人生だった」と言って魂を差し出すファウストのほんとうに安らかな表情がとてもよかった。ドラマでジャニーズの演技は見てきたけれど生で、舞台で観るのは初めてだったので、演技に関しては申し分ないと感じた。少年倶楽部でのBIGSTARのパフォーマンスを見た時にも思ったことだけれど、ジャニーズがここまでのパフォーマンスをできると思っていなかった、というのが本音だ。脚本・演出に不満はあれど、2人を含めキャスト全員の演技に関してはどれもまた観たいと思った。正直、リピーターチケットを買うには一押し足りないと思った、というか脚本・演出なんとかしてくれたら、リピートしたのに。

カーテンコールについては他の方のレポートを見た方が伝わりやすいと思ったし、正直あんまり会話の流れを覚えていないし、あともう眠い。とりあえず一晩明けたら疑問を解消しにいろんな人がファウストについて書いたブログを読み漁りたいと思う。

 

以上、現場デビューの感想でした。

全部ひっくるめると、「素晴らしい現場デビューだった!」